オーディオ沼には近づかない

■ スティーブン・キングの「ペットセマタリー」で、主人公が急死した我が子を呪われた墓地に何度も埋めようとするじゃないですか、今回は遅すぎたんだ、次こそうまく甦るって。あれみたいなもんでね、業が深すぎるというか、やっぱりあの沼にはおいそれと近づいちゃならんと思うわけですよ。

ただね、GONGの「SHAMAL」というアルバムがありまして、これを聴いてたらなんかおかしいんですよ。

ボーカルの特定の音、サ行の音がどうもかすれて聴こえる。
ベルの高音の頂点の部分がチリチリと毛羽立って聴こえる。

ネットで「レコード サ行」で検索してると、まあ出るわ出るわ。なるほどこれはレコードあるあるなんですな、と調べてみるに「オーバーハングの調整」というのが目につく。アームの支点から針先までの距離、要はカートリッジをどの位置につけるかって話だが、確かにこんな調整したことない。SL1200はコネクタの付け根から針先まで52mm、というのがテクニクスの指定値らしい。

測ってみるとこれがズレズレ。5mmくらいズレてる。

一発で解決だわーって確認してみると、若干軽減された気もするが…、やっぱりサ行がかすれてる。
そもそもこんな録音なのかも?ってCDの音を確認するがこちらは問題なし。サ行ちゃんと歌えてる。

リファレンス用ってことでリマスター版の「狂気」を新品で買ったんだが、この盤も確認してみるとやっぱりかすれてる。透明感のある高音がいたるとこにあるアルバムだからよけい毛羽立ち感が目立つ。

調べてみると調整すべき箇所が色々出てくる。オーバーハング、アームの高さ、針圧、アンチスキップ値。そもそも盤がおかしいのか。しかし「狂気」は新品だし…。SL1200自体が中〜高音域を強調する作りになってるって話しも。

針の位置を変えては試聴、変えては試聴、を100回くらい。
針圧を変えて、高さを変えて、アンチスキップを変えて、試聴。また試聴。

朝の8時から「狂気」の4曲目、「TIME」を延々とリピートしている。
外はとても良い天気だ。

ちなみに歌詞はこんなだ。

お日さまの下に寝転んだり、窓から雨を見るのにうんざりしていた。
あなたは若く、人生は長く、無駄に過ごすに充分な毎日があった。
そして、10年という時が過ぎ去ったことにある日気づく。
誰も走り出せって言わなかった、そしてあなたはきっかけを逃してしまった。
 
やっと、あなたは走り始めた。
太陽に追いつこうとして、懸命に走った。 
が、太陽は無情にも地平線の向こうに沈み、絶望して振り返ると、真後ろの地平線から、また太陽がのぼり始めた。
追いかけたものはいつもそんな風で、あなたの息は短くなり、また一日死に近づいた。


窓全開にして晴天の土曜日のご近所中にお見舞いしたいような歌詞だ。

この「また一日死に近づいた」、"one day closer to death"のデス、のかすれが目立つのだ。
この部分だけをひたすら設定を変えながら100回リピート再生。
CDのほうも同時再生して違いを聴き比べる。
暖かな休日の晴天の下、また一日死に近づいたんですね。ご近所中に大音量で知らせてやりたい。

そうだよな、10年経つんだよな、誰も走り出せなんて言ってくれないよな、と思いつつ、
なんとなしにターンテーブルのゴムシートを交換してみた。
制振のため某有名メーカー謹製の5000円の、ゴムの円盤に5000円?500円じゃなくて?と思いながら買ったものを、元々使ってたペラペラのゴムシートに。

全然音が違う!この安っちいぺらぺら野郎のほうが音良いじゃねえか…

5000円…




■ ということで、サ行かすれに関してはかなり良くなった。
「SHAMAL」も爆音でかけてみたがだいぶ良くなった。
かすれというかスレ、くらいは感じるがこれはM44Gのドライな音質故ってことだろう。そうだ。そうに決まってる。そうだってことにしておかないとまた一日死に近づく。



■ あとターンテーブルシートを交換して音が変わったのは、単純にアームとテーブルの高さ水平の問題な気がする。
5000円シートはけっこう厚みがあるので、その厚みに合わせてアームの高さを調整すれば奇麗な音が出るんだろうと思う。

思うが、これまたリピート地獄でまた一日死に近づくと思うと、ちょっともうしばらくはいいや。











[ 2017/03/25 10:27 ] オーディオ沼 | TB(-) | CM(-)